朝5時半に目が覚めた。強烈な寒さだ。冬用シェラフを持ってこなかった事を後悔。外に出てまずはトイレ。相変わらずの絶不調なおなか。昨夜の焚き火の残りに火をつける事にする。今回は焚付け用に牛乳パックを乾燥させたものをたくさんもってきていたので火をつけるのに苦労がない。前回のおしゃきゃんの時にあかほり氏がもってきていてその効果のほどをみていたので、今回からもってきた。知識としてはアウトドア雑誌なので知ってはいたが、やはり実践で効果を体感してしまうとその影響力は大きい。数百円もする着火剤を買わなくていいし、まな板がわりにもなる。まさに一石二鳥の効果がある。 小さい木から徐々に燃やして大きな火になっていく過程は見ていて楽しいものだ。せっかくおおきくなった火。寒い中起きてきた人はうれしいだろうと思ってつけたのだが、誰も起きてこない。時刻は6時30分だ。 今回スプが計画した仙台でおいしい牛たんを食おうというオプショナルツアー?とバイブスの会場で行われる歓迎セレモニーやパレード等おいしい選択肢がいくつかあってとうとう当日まで悩んでいたが。結局久々に八幡平や八甲田あたりもツーリングしたいという気持ちが強まって、前田氏(以下敬称略)と八幡平あたりまで南下することにした。 前日にはやく起きた方が相手を起こすという約束になっていたので前田のテントを探す。はてどのテントが前田なのかわからない。おーそうだ携帯電話をならせばわかる事を思いついて電話をかける。よそうどおりのテントで前田は電話をとるがブチ!と切られてしまう。まあいいや自然におきてくるのをまとう。今日の距離はさほどでもない。 YOUやハラグチも起きてきて徐々に人が揃ってきた。みんなでる言葉はさむいーかねむいーの、語尾がいー系言葉だ。あちこちで人が起きてきた。パッキングをして走り出す準備をする。湘南&世田ヶ谷の人たちがいるテントサイトまでハラグチ氏と行って挨拶をする。牛タン組みも温泉だけは行くという事になって私、前田、ヒロシ、YOU、アミーゴ、kita、ハラグチ、スプ、かおりの計9台で温泉にでかける。目指すは八甲田山の酸ヶ湯。途中多くのバイブスに向かうハーレー集団と手を挙げて挨拶を交わしながらすれ違う。天気がいいと気持ちがいい。温泉につくと中は巨大な木造体育館のようで柱もない。1000人風呂とはよく言ったもので実に多くの老若男女が入っている。混浴だが目印の境界線があってそちらから向こうへは入ってはいけない。若めの奥さん的?(何だそりゃ)の方も堂々と入っていた。全面的に見える状況だと不思議とやらしさは感じない。おおらかな建物のせいなのか。それとも中が広くて遠くに見えるからかもしれない。とにかく広い。いっしょに言ったかおりちゃんはちゃんと入ったのかなーとみんな表面上は心配しつつ目は真剣に探している。途中うたせ湯の前に10代後半の女の子がタオルを巻いて湯船の端に座っていた。そこに上の天窓からまっすぐにそこだけ象徴的に光が降り注いで、まるで絵画のような美しさを醸し出していた。のぼせないうちに外へ出て休憩。かおりちゃんは、混浴ではない方のお風呂に入ったそうだ。みんなの表情に0.2秒ほど、しまったそんな風呂があったのかという風な表情が走った(ように見えた)。観光地にありがちな蕎麦屋に入る。ここが予測どおり出てこないこと甚だしい。でもまあとりあえずの風呂上がりの蕎麦&ビールを一口。至福の時間を味わう。そこをでると周囲の道はどこも大渋滞がはじまっている。しばらく走って牛たん隊とT字の交差点で別れた。クラクションを鳴らす。ハーレーの純正クラクションはまさにクラクション社製のものだ。この音が別れ際によく会う音色だといつも思う。少しだけ寂しげな音にも場合によっては聞こえる。 八幡平隊のメンバーは私と前田そしてYOUの3人だ。3人になったので先頭を走る前田のペースがあがる。なんでもない3桁国道の山道をもくもくと走る。バイクに乗り初めて15年。いくたびこうしたワインディングをぬけてきたのだろう。4輪を運転しているとき。コンピュータ画面に向かっているとき。いろんな時間を過ごす自分がいるけれどやはりこうして黙々と無心な状況でバイクに乗って田舎の3桁国道の山道を走っている自分が一番好きな気がする。前田はサービス精神からぼくやYouに最高の八幡平を味わわせてくれようと策に走りすぎたため途中ルートが裏目に出て結果走り続けてキャンプ場についたのは日が暮れてからであった。途中のスーパーで買い物を済ましてキャンプ場についた時点で炭がないことに気がつく。その旨を話すと親切にもそのキャンプ場の管理人さんは無料でまきを分けてくれた。ありがたい。直火はできないがYOUが持ってきた折り畳みコンロがあれば無敵なのだ。 軽く乾杯してキャンプ場内にある温泉に入る。温泉に紙パックの日本酒を持って入り人肌レベルまで温めた。温泉はめちゃくちゃ熱いと思ったのはどうやら自分たちが体の芯まで冷え切っていたからだろう。しばらく湯につかっているとちょうどよい。温泉からでて本格的に乾杯してカルビを焼いてスプ鍋も食べる。スプ鍋とはスプがもってきた北陸のおいしい味噌を使っていることからいつのまにかこの名称がついた。野郎3人で小さな火を囲んで他愛のない話しをしながら酒を飲むのもいいもんだ。大勢のキャンプも楽しいが3人から6人程度のひとつの鍋や火を囲う事ができるぐらいの人数でのキャンプもなかなかいい。 夜も更けてきて、途中でご飯を炊きはじめる。いつも愛用している小さなコッヘルを取り出すと、前田氏曰くほんとうにそんなんで米炊けるのかよーという言葉を私は静かなに笑いつつまあ見ていなさいと、飯炊き対決となった。もうこのトランギア製の小さなこっへるで10年以上ご飯を炊いているが一度も失敗したことはないのだ。はじめちょろちょろで話しに夢中になったころ前田氏がおい蓋があいてるぜ!と振り返るとなんと蓋が外れてふきこぼれている。がーん勝負あった!という笑みが浮かんだ前田を横目にみつつ、再び蓋を閉じて強火に。ぐつぐつと米が手炊ける感触を箸で感じる。炊き時間が終わり約15分間の蒸らし時間の後におそるおそる蓋をひらく。といつもどおりの大成功。蓋を開けた瞬間に前田氏の顔に敗北の色が写った。かに穴と呼ばれる、うまくご飯が炊けたときに現れる穴もあちこちに空いている。一口食べると堅くなく柔らかくなく最高だ。前田の敗北宣言を聞いてから再び食べはじめる。いつもなら1.5合炊きのそのくらいのご飯は瞬時に消化してしまうところだが、やはり絶不調のおなかのせいで食欲がいまいち。YOUに半分ぐらい食べてもらって肉を食うのも途中で中止して悪いが先に寝るということでこの日は眠りにつく。この夜も私はBGMを奏でていたらしい。 | ||||||