うみごはん
2004年2月

 最近我が家での楽しいイベントで時々時間がある休日に突発的に開催するイベントだ。その名の通り海辺でごはんを食べる。ただそれだけの事だがかなりうれしく、そして楽しい。子供が産まれて移動手段は主にクルマとなるが、ある程度の距離を日数と時間をかけて移動するならばともかく日曜の休日一日だけで、のんびりと充実した時間を創るのは難しい。
 そんなある日、たまには歩いて海まで行こうとベビカーを押してカミさんと3人で海まで行った。冬の湘南海岸は真夏のような混雑もなく空いている。

 風もなく穏やかな日は真冬だが日中は不思議な季節感の中にある。太平洋側は目の前に砂漠の如くひたすら広がる大海原。あらためて思えばこれほど広い世界がすぐそこにあるというのも不思議な感じだ。こんなに気持ちのいい場所がある。気持ちのいい場所で食事をするならそれは気持ちのいい食事となるはずだと考え、次ぎに来る時はここでお昼ごはんを食べようという話になった。

 そして翌週、今度はランチの準備をして海を目指す。

・・・と書くと話の筋道としては非常にスマートな展開であるが実際とは少しチガウのである。(笑)

 実際には運動不足で無分別な体型をしたブッタイ(あ〜まあ私の事ですな!)を心配したカミさんが、

たまには歩いて海に行くとかそういう事はしないの?」とか、あるいは
 あの押入に所狭しと入っているアウトドア道具の数々はいったいなんなの?!しかも普段使っているのは見たことがない!とスルドク指摘され、返す言葉もなくちいさな?アウトドアライフを再開した次第である。
 言い訳がましいが、キャンプ道具の数々はわたしが独身時代1人ソロ林道ツーリングで山野を駆けめぐっていた頃に野宿の道具であるし、まあかっこよくいえば歴戦の男の道具である。などと説明をすると、自分だけ若いころそうやって遊びまくっていいなあ!とこれまた話は不利な戦況へ展開するのは目に見えていたのでその話を終了し、まずは海へ歩き出したのである。

 ザックやバッグ類も豊富でトートバッグなどは大から小までまるでバッグ屋さんのようである。手頃なサイズのL,L,Beanのトートバッグに、コッヘルとシェラカップを入れる。ガスストーブ(アウトドア用品の世界では小型の調理コンロをストーブと言う。家庭にあるガスストーブではない)はスノーピークの小型のものだ。思えばEPIからはじまり、イワタニプリムス、そして現在のもので3つ目だ。他にもコールマンの400AをはじめMSRやあるいはパイトーチのアルコールストーブもあるが、あまりこういう同一目的の道具を複数所有するのは精神衛生上非常によろしくないので、新しいのを買う場合は使用しないものを処分するのがよいだろう。

 あれ?なんの話だっけ?そうそう海へ向かうのである。さらにバッグの中にはジップロックの袋にタマネギを切ったものを入れて、家庭で使用中のコンソメなんぞもいれる。バターも入れた。そうだ水もいる。水は1Lの容器に入れる。よくよく考えれば水を入れる水筒もかなりいろいろなサイズとメーカーを取り揃えておりますと言った感じの押し入れの内部である。我ながら困ったものだ。そういえば最近はフランスのグランテトラの水筒も入手困難と、数年ぶりに買ったビーパルに書かれていた。ビーパルの表紙にはハーレー界では最近有名なクニイリツコちゃんがビーパルの表紙を飾っていた。アウトドア系の雑誌は表紙にリツコという名前の女性を使うことが好きなのかもしれないなあ。

 今回は家で炊いたご飯をわたしが三角おにぎりにした。もちろん荒塩を手につけて握る。周囲をがっちりそして内部は空気の層ができるように・・おにぎりに関してはほぼ職人の域だろう。ちなみにコッヘルでご飯を炊くのもわたしの数少ない自慢芸のひとつだ。今まで一度も炊飯で失敗はないと豪語できる。

 行きがけに地元では安くて有名なスーパーに立ち寄る。ワイアットアープやドクホリディを彷彿させる名前である。クルマの運転ではないので公然と酒が飲める。ワインをカゴに入れたが、その瞬間気が付いたことがひとつ。そうだワインのコルク抜きがない・・・。次回への教訓だ。どうしてもワインが飲みたいのでスクリュウキャップ式の安い赤ワインを買う。ワインといえばチーズも必要だ。でもおにぎりが主食なのである。なぜかカゴの中にマシュマロも入っている。

 海辺に出ると少し曇ってはいるが穏やかである。適当な場所を探すがなかなかいい場所がみつからずすでに海岸線を4キロ以上歩いているのである。そろそろお腹が空きすぎて険悪モード臨界点に達する頃にやっと場所をみつけた。まずは火をつける。が、以前所有していた自動着火式の方ではないのでライターかマッチが必要だが、ライターを入れ忘れている。なんとか防水マッチを入れていたのでそれで着火を試みるがなかなか火がつかない。やっとの思いで着火。点火装置付きのガスストーブが欲しくなる。いややはりたまには火をつけるのにも苦労したほうがいいかも。と思いなおす。

 バターを炒めると周囲にただならぬ美味しい香りがたちこめる。そしてタマネギ投下。炒めて水とコンソメで即席スープのできあがり。
 ワインをシェラカップに注いで飲む。チーズをよく合う。え?おにぎりはどうしたのかって?そんなもんととっくに食っちまった。ははは。
 とまあこんな感じである。
 最後にミルクをシェラカップで沸かしてマシュマロを4ヶほどのせるとマシュマロの甘みが溶けだして食後のデザートミルクの完成だ。
 海をみながら(実は食べるのに夢中であまり海をみていなかったような気もするが・・)のランチタイムはまさに至福の時間であった。

 これに味をしめたのかまた翌週も出かけた。前回の教訓から今度はビクトリノックスのナイフも準備。もちろんワインを開けるためだ。
 前回はおにぎりを握ったが、コンセプトが不明確であったため今回はワインとチーズそしてフランスパン(バケット)にした。王道である。
 ところが朝早すぎてどのパン屋さんも出来上がるのはお昼頃だという。あえなくスーパーで食パンを買う。がその直後別のパン屋を発見。食パンを買ったばかりだが、これは今後の食生活に回し、とりいそぎやはりバケットを買うべし!との最終判断によりフランスパン購入。
 ワインはいつもよく買っている安くて美味いチリ産の赤ワインを購入。用意周到なカミさんは家からチェザーチーズを持参していた。今回スープは手抜きでキャンベルのオニオンスープを購入。濃縮タイプなので4人前もスープができてしまった。家から持参したハムなどでサンドウィッチを作りながらワインで乾杯。またもや至福の時間である。

 楽しいうみごはんのススメである。わたしなりにアドバイスを付け加えるならば、装備はなるべくコンパクトで後かたづけが簡単なものがいい。コッヘルが1ヶとシェラカップが人数分あれば充分だろう。調理する内容だが、あまりに本格的な料理はやめたほうがよい。まるで料理教室かオートキャンプ、あるいはBBQのような雰囲気になってしまうと目立ちすぎるし片づけや準備もめんどうになる。 またスキレットやダッチオーブン料理は向いているだろうけど海まで運ぶには重すぎる。
 あるいは コンビニ弁当を買って海で食べるだけでも美味しいし、お湯を沸かしてカップラーメンでも充分素晴らしい時間だと思うが、あまりにお手軽すぎてしまう。
 インスタントでもなくかと言って料理とまでは呼べないような、シンプルだが手抜きでなく、かつ切ったり刻んだりと凝りすぎないレベルのメニューがふさわしいと思う。お手軽すぎない凝りすぎないと言ったところだろうか。

 こうして海を眺めながらゆっくりとした時間を過ごしていると街の喧噪や物欲も消えてしまうのであった。

・・・と書きたいところだが、実は脳裏では、やはりここでライヨールのナイフでワインを開けてみたいとか、あるいは固まりのパルミジャーノレジァーノを同じくライヨールナイフでカットすると最高だなあとか、やっぱり着火は点火装置付きがいいのか?イワタニプリムスの新製品はP-153かあ・・あるいはパッキングとして背負うには、グレゴリーのデイ&ハーフぐらいの容量が欲しい・・・などと際限なく久々にアウトドア系物欲の炎が燃えてくるのであった。あーあ(笑)