真夏の夜は、時々、山下達郎をBGMに片岡義男を読む。
これが私の17才から続く真夏の夜のスタイルだ。日本語で表現するなら様式あるいはひとつの儀式でもある。
山下達郎の歌を聴くというレベルでもなく、片岡義男の書いたオートバイにまつわるエッセイを読むというレベルではない。
もうすでに何百回、いや何千回も聞いたであろう山下達郎と、同じくもう何度も同じ活字を読み返した片岡義男を読むのである。
やがて精神状態が、過ぎ去った20年の歳月を、何事もなかったのようにあの大きなオートバイに乗ってツーリングに行きたかった頃の思いや、北海道・信州という響き、SRやW1、そしてCB750Fと行った憧れのオートバイとともに蘇る。
そして翌朝のあの抜けるような青い空の中を、エンジンをキックで始動して走りはじめる瞬間のあの広がりや喜びをいつまでも新鮮に保つことができるのである。
2003年8月21日
