子供の頃に憧れた職業。わたしも男の子の一般的な例に漏れず、やはりパイロットになりたいと思ったこともある。
また製図板に憧れて家とかの設計士に憧れたこともある。(これは期せずしてその後、製図板を前にする仕事に就くが。)
こうしてハシカのように周期的にあれもなりたい、これもなりたいと思った職業のひとつにアメリカの長距離トラックのドライバーになりたいと思ったこともあるのをふと通勤途上のカントリー音楽を聴いていて思い出した。
どうしてなりたかったのか。単純にいえばやはりあの「コンボイ」という映画に感化された事が大きい。コンボイとは船団を表す言葉で、1978年のサム・ペキンパー監督の映画タイトルだ。確か映画館に観に行った記憶がある。とにかく主人公の乗るラバーダックが乗るMACKトラックが格好よくて、映画を見終えたあとも家に帰ってから興奮してこのマックトラックの絵を描いたような気がする。
コンボイも、この時代のアメリカ映画に共通するストーリーだった。不条理な地元警察官。ちょっとした行き違いから逃げることになる主人公。追いかけるパトカー。いくつも超える州境。応援する人々。映画のタイトルや細かい味付けは違ってもこの時代に共通するアメリカンロードムービーのスタイルが好きであった。
この時期に何冊か大きめのムック本を持っていた。今でも実家にいけば捨てることなく持っている。KKワールドフォトプレス社刊のコンボイだ。本のタイトルはアメリカントラックの本だったかもしれない。同じシリーズでアメリカ製品の本とかもあった。
ちょうど私が小学校から中学高へ入った頃の年代で、自分でお小遣いの中から買った本だとは思うが、かなり何度も読み返した記憶がある。
その本を観ながらアメリカ大陸を横断するトラック運転手をイメージしていたのだから、まあ変わった子供である。FMラジオで休日の午前中にカントリー音楽の時間があってそれをテープに録音したのを流しつつそのおおきなムック本を眺めていた。テレビでは警部マックロードという番組を放映していたのでいわゆるカウボーイハットのテキサスぽい雰囲気は都会の人からは小馬鹿にされているというのをその番組から得た印象で、はやくもできてはいたが、だがそれでいてそのアメリカの田舎(カントリー)スタイルに全面的に憧れていたのだと思う。
その時代に子供ながらに感じたのは、トラック運転手をして自分の国を端から端までドライブするようになると誰からともなくその国の文化や根底に流れるものを求めるようになるんだなあということ。
日本の長距離トラック運転手が、こよなく日本食と日本の演歌を愛するように、アメリカの長距離トラックの運転手が、ホットドッグやハンバーガーなどのアメリカ的なものを食べて、かつ音楽はカントリーミュージックを聴くように。
毎日その風景の中をドライブするときそれぞれの国のトラックドライバーたちはごく自然にその国の持つ根底の普遍なる普通を求めるようになるのだろう。
イーグルスやリトルフィートのようにアメリカンロックあるいはオールドロックで今聴けばほとんどカントリーじゃん?って雰囲気の曲は好きだが、どうしてもカントリーといえばケニーロジャース時代しか知らない(古いですね)私にとって、どこかばたくさい感じの印象だったが、最近それは単に自分がよく知らなかっただけという事に気づいた。
最近はtim mcgraw(ティム・マッグロウ)にはまっている。これは友人のハーレー乗りが教えてくれた。確かこのティムさん(会ったことないけどね)は、ライナーノーツによれば私と同じ年か、近い歳であったはずだ。
いくつかアルバムを買ったが、中でもエヴリホエアというアルバムが気に入っている。このアルバムの8曲目にあるエヴリホエアから9曲目.10曲目とつぎつぎと流れる歌をききながら、あるいは突然ラジオからハイウェイを走っているとき蒼い蒼い空が夕暮れに向かう澄んだ空気の中で流れてきたならもうそれだけで実にタマランと私は思うのだ。うまく表現できないけどキングオブBGMなのだ。
時々夕暮れのハイウェイでこの曲を聴くためだけのためにふと、オーディオ付きのエレクトラグライドも欲しいなあという邪念も生まれるほどだ。
イメージを膨らませすぎると、往々にして予測を超える出費が待っているかもしれないので注意して聴くことにする。
2002年5月1日