|
◆F4,F4,F4◆ 大阪にいた頃、同じ職場の人がニコンF401を買い、見せびらかされ、羨ましさ半分、ストロボまで内蔵したニコンらしからぬ中途半端さに、「俺の欲しいニコンはこれではない。」と思ったこともありました。F4デビュー当初は、F3よりもグッと進化を感じさせるそのフォルムにぐらぐらと心を揺るがされたものですが、当時、車のローンも済んでいない状況下で、「カメラに二十数万円は払えない。」という気持ちが私を支配していました。ですから、全く現実味のない、やはり”ニコン神話”的なイメージしかなかったのです。 そもそもF4熱のきっかけは、ある先輩デザイナーが8年程前に購入したのが始まりでした。その先輩はカメラのことを全く知らない”シロートさん”でした。購入に際し、「カメラを始めようと思うんだ。」と相談をされ、あまりの知識のなさに、初心者用で充分と判断し、F401を薦めました。しかし、「買っちゃったよ〜。」と見せられたのはなんと”F4”でした。正直、驚きました。愕然として何も云えなかったのを憶えています。「なんで、F4。」と思ったものでした。ちなみにこの先輩のF4はそれからずっと眠りっぱなしだそうです。あれから随分経ちますが、”カメラ”と聞くとやはりこの熱が再燃してしまうようです。カメラというのは、永い年月を経ても、定期的に熱を出させる不思議な機械です。 F4については、全ての設定方法がダイヤル式で、アナログ感覚であること、昨年のF5の登場によりF4がぐっと値崩れしたこと、ニッコールレンズの選択幅がF5よりも多いこと、あまりに電子化されたF5にはついて行けないこと等などが、最近あらためて理想的なカメラとの認識に至ったのでした。ジョルジエット ジウジアーロ先生の手になる、カメラマニアの心をくすぐるデザインも、”節度ある柔らかさ”と”堅牢感のある堅さ”が秀逸です。家内もカメラをやり始めて熱があることから、資金繰りには柔軟な姿勢を見せ、今回の決断に至った訳です。春にF70Dを買ったばかりですから、少々気が引ける面もなくはないですが、もう今回の”火”は消せそうにありません。
F4購入を考え始めてから2〜3カ月経ちました。ニューモデルのF5が市場に投入されてからというもの、F4が生産中止になったこともあって、店頭価格が急激に落ちたようです。F70D購入に至って、様々なカメラ雑誌の広告欄を見ていくうちに、F4の値段が随分安くなっていることに気が付きました。「待て、慎重に慎重に。」と、この時ばかりは”少年時代のもうひとり自分”がささやくのでした。ニコンへの憧れが、逆に自分を慎重にさせました。 あのオリンパスOM-1N購入時と同じように、方々を調べ、電話で聞いたりしているうちに、もう消せない”火”は、ぼうぼうの”大火”に成長していました。それでも、慎重でした。悔いがないようにと、F5もよく調べました。しかし、高い割に自分の理想とは違いました。このへんは賛否両論でしょうが、少なくとも自分には合っていないようでした。 「よし、決めた。」心は決まりましたが、時期的な踏ん切りが付かずに価格調査を進めていると、在庫がそろそろ無くなって来ていることが判ったのです。これは焦りました。F4かF4Sかで迷っていましたが、両方を置いているという店が減ってきているのです。「危ない。」と思い始めたらもう居ても立ってもいられなくなりました。 「もういいだろう。」自分に言い聞かせて、F70Dの時と同様、会社の帰りに目黒のあるカメラ屋にむかいました。この時も車でしたが、車の中でひとり自問自答しました。「ホントにいいんだな。」「待てよ、いきなり”これ下さい”じゃあバカみたいだな、なんたってF4だからな。」「お店の人に何か聞くことはないか?そうだ、生産中止になりましたけど部品はまだありますか?とか、修理はききますか?とか、保証はどれくらい?とか聞いて慎重なふりをしよう。」と、全部判っているようなことを質問として用意しました。少年時代のオリンパスOM-1Nの時は、偶然町で見つけてあわてて買ったわけですが、今回は気持ちを決めている訳ですから、落ちつけばいいものを、逆にドキドキしてしまうのでした。 まあ、そんなわけで、店に到着し、色々聞いて、納得した上で購入しました。最終的にはやっぱり「これ下さい。」でした。私が調べた中では、もっとも安かったのがこの店に決定した要因です。とにかく無くなってしまわぬうちにと、まずは本体のみです。F4です。F4Sも考えましたが、やっぱりデカすぎです。レンズはまだ、F70Dのときに買った24〜120mmのズーム一本のみですが、これを付けてフイルムも入っていないのに家の中でパシャパシャやって遊んでます。やっぱりいいですよ〜。しっかりした感じというか、ずしっとした重みがまた「重いからいいんだよなあ〜。」という訳の判らないセリフをはかせてしまうのでありました。 そんな訳でF4購入に至るまでの少年時代からのカメラ人生を綴ってみました。今度はF4で色々撮って、その後の報告をしたい思います。 ではまた。 |